一昔前の医学教育は「まねる(学ぶ)」が主流でした。研修医や新人看護師は、上級者が行う一挙一動に注目して手順や注意点などを学び、実際の場で上級者の指導の下に経験を重ねてきました。しかし、この学習法では失敗が生じる可能性が高く、患者さんに不利益を生じさせてしまいます。「失敗は成功の母」とか、「七転び八起き」など、失敗しても方法の誤りや失敗の原因が判れば上達するとされていますが、医療では失敗は許されません。また、「まねる」では、基本的なことは学習できても、新しいことや応用力を身につけることはできません。当医学教育支援センターは職種を問わず、社会の変化をいち早く捉える生涯学習能力と変動する環境下で的確に動くことができる実践力の修得を目的に、様々な教育に取り組むことを理念として設立されました。基本手技や医療の質を確保するための学習ではなく、個々が自己を振り返る自己啓発を促すことで、安全で質の高い医療を実践できる人材育成に取り組んでいます。